フランスとビダソア川を挟み国境を接する、スペイン バスク州の町オンダリビア(Hondarribia)。
ビタソア川を見おろす高台に建つ建物は、神聖ローマ帝国皇帝カール5世(カルロス1世)の古城。
10世紀の終わりに起源を持ち、1968年よりスペイン国営のパラドールホテルとなったパラドール デ オンダリビア(Parador de Hondarribia)に宿泊します。
パラドール デ オンダリビア Parador de Hondarribia
パラドール デ オンダリビア(Parador de Hondarribia)はオンダリビア旧市街にあるスペイン国営パラドールのホテル。
建物は4階建て、全68部屋。
ホテルの公式パンフレットによれば、建物は10世紀の後半にナバラ王国のサンチョ2世(Sancho GarcésII)により要塞として建設され、神聖ローマ帝国皇帝カール5世(スペイン国王カルロス1世)やフェリペ4世・フェリペ5世の時代には王の城として使われたとの記載があります。
西側の広場Arma Plaza側の外壁には、無数の砲弾跡が見られます。
オンダリビアは国境沿いということもあって過去に幾度と戦争の舞台に。
その中でもフランス・スペイン戦争(1635〜1659年)中の1638年に起きた「Siege of Fuenterrabía」の戦いでは、フランス王国軍が「16,000発の砲撃を浴びせた」そうですから、その時のものかもしれません。
正面のファサードには神聖ローマ帝国の紋章である双頭の鷲。
中央にはカスティーリャとレオン、両端にはカルロス1世が初めて追加したヘラクレスの柱(PLVS VLTRA)がありました。
ホテルロビーは中世にタイムスリップしたかのような、パラドールらしい雰囲気。
右奥はカフェになっており、宿泊者でなくとも利用できます。
左手に見えるドアは宿泊者専用のエリア。
レセプションでチェックイン後、お部屋のルームキーをタッチして出入りできます。
メインの階段 Main Staircase
古いお城の形状をそのまま残していると思われる、中央の階段。
大きな窓からはパティオに射しこんだ光が入ります。
館内には古い写真が多数展示されています。
いつの時代か定かではありませんが、上の写真は特徴的な三連アーチが見えることから「パティオ側からメイン階段のスペース」を撮影したものと思われます。
メインの階段を上ると、宿泊者専用のサロンやタペストリーの展示があるホールへアクセスできます。
詳しくは、客室をご紹介した後を訪れることにしましょう。
エレベーターで客室のある2階へ移動。
内廊下にはお城の名残と思われる小さな階段が複数あります。
この「非効率的で」「複雑な」構造が、お城を改装したホテルらしくて。むしろ素敵に感じられます。
スーペリア ツインルーム Superior Twin Room
20㎡のスーペリアツインルーム(Superior Twin Room)。
客室のタイプはツインルームとスーペリア、スイートの3種類のみ。
スーペリアはビダソア川を望む「フランス アンダイア ビュー」です。
今回の客室は203。北東の角部屋です。
非常口の案内図を見ても階段が多く、複雑な構造をしていることが読み取れます。
ベッドルーム
内装や調度品・照明は、パラドールらしく質素。
しかしこの飾り気のない感じが良いですね。
天井にはシーリングファンが付いてました。
羽は木目調。
セキュリティボックスはクローゼットの中に。
スリッパはありません。
フランス国境 ビダソア川とアンダイエの眺望
控えめな大きさの縦型の窓枠。
きしみを感じつつ窓を開けると、湾に浮かぶ船。
そして、フランスとの国境があるビダソア川の眺望です。
ビダソア川(Bidasoa)の向こうに、フランスのアンダイエ(Hendaye)。
アンダイエはフランス語で、バスク語ではヘンダヤ(Hendaia)と呼ぶそうです。
ちなみにオンダリビア(Hondarribia)はバスク語で、フエンテラビーア(Fuenterrabía)がスペイン語。
色んな呼称があるだけでも、この地が歴史の交差点であったことを伺えます。
少し北の方角に目を向けてみると、外海のビスケー湾が見えます。
東南側。
サンセバスティアン空港に着陸するブエリング航空の飛行機。
夜になると両岸に電球色の照明が灯り、ロマンチックな風景に。
オンダリビアの朝焼けが綺麗と聞いていたので早起きして撮影してみましたが、太陽は一向に現れず。
思えば、サンセバスティアン4泊・オンダリビア1泊の日程で晴れたのは最初と最後だけ。
他はずっと雨。雨が降りやすい地域とは聞いていましたが、本当に雨が多いです。
もし綺麗な朝焼けが見れたなら幸運かも?
バスルーム
バスタブも付いていました。
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角部屋のため、バスルームには縦すべり窓も。
換気に便利です。
アメニティ
パラドールのアメニティセット。
歯ブラシとシャワーキャップはありますが、綿棒や剃刀はありません。
パティオ Patio
建物中央部にある中庭。
歴史を積み重ねてきたであろう、苔だらけの石の壁。
中庭を抜けると、テラスへ。
テラス Terrace
パラドールの東面ファサード。
客室のない西側とは異なり、ホテルの客室が多く配されている東側には手が加えられていそうです。
しかし、窓の縦列がバラバラであることから古城時代の面影は残っていそうです。
出入りはできませんが、テラスの先は裏口に繋がっており、隣のカトリック教会が見えました。
サロン Salón
2階にあるサロンへ。
宿泊者であれば自由に出入りできます。
客室の質素なしつらえとは異なり、サロンの調度品は豪華。
梁がずらりと並ぶ天井部も見ごたえがあります。
サロンの窓からは西側の広場Arma Plazaがよく見えます。
右手の建物がオンダリビアの観光案内所です。
タペストリーのホール
最上階にあるコンベンションホール。
これから王族の会食でも始まりそうな雰囲気が漂う、細長い空間。
壁にかかるのは、ルーベンスによるギリシア神話アキレスの物語を描いた6枚のタペストリー。
ホテルのスタッフさんのGuadalupeさんがこちらの部屋に案内してくれて、スペイン語のみで一生懸命説明してくれました。
単語は少ししか拾えますが、熱意があるので何を伝えようとしているのか何となく分かる。不思議です。
朝食
朝食はパティオを望む明るい空間でいただきます。
ハモンイベリコやアンチョビ、スペインオムレツ(トルティーヤ)といったスペインらしい食材・料理も。
種類が多いわけではありませんが、パティオを眺めながらゆっくり朝食を食べるのもパラドールデオンダリビア滞在の楽しみのひとつ。
パラドールデオンダリビアは全宿泊プラン朝食付きのはずです。
パラドール デ オンダリビアの場所・行き方・アクセス
サンセバスティアン空港およびサンセバスティアンのギプスコア公園(Plaza Gipuzkoa)前のバス停から路線バス(E20、E21、E27)が出ています。
オンダリビアのバス停があるグラウンドレベルからパラドールホテルの0階まではエレベーターでアクセスできます。
エレベーターの中は広く、窓も付いてます。
少しずつ上がるエレベーターの外を見ながら、ビダソア川の眺望も楽しめるでしょう。
いっしょに乗った「スペイン人の女性4人組があの向こうはフランスよ!」と教えてくれました。
エレベーターの運行時間帯は7:00〜23:00(9/16〜6/14)、7:00〜翌1:00(6/15〜9/15)。
最後にホテルからサンセバスティアン空港まで歩いてみたところ、実測で27分でした。
感想・総評
古城を改装したパラドールホテルらしい建物、内装、雰囲気。
案内してくれたスタッフさんやレストランやカフェのスタッフさんもとても素敵な方ばかりで、オンダリビア滞在の素晴らしい思い出になりました。
近くには美味しいレストランもありますし、旧市街を出て町に出てバル巡りをするのもよいでしょう。
サンセバスティアンだけでなくオンダリビア滞在もおすすめです。
住所:Plaza de Armas, 14, 20280 Fuenterrabía, Guipúzcoa, Spain
電話番号:+34 943 64 55 00
チェックイン:14:00〜
チェックアウト:〜12:00