開国に際して、外国船の艦砲射撃から箱館奉行所を守るために築造された星形城郭、函館の五稜郭。
皮肉にも、日本最大の内戦 戊辰戦争における最終局面 箱館戦争において蝦夷共和国(旧幕府側)の本拠地となり、また儚き夢となった舞台となりました。
1914年(大正3年)に桜が植樹されて以来、凛と咲くソメイヨシノが北の大地に春の来訪を告げています。
函館 五稜郭の桜 Cherry Blossoms in Goryokaku, Hakodate
函館の桜が見頃を迎えるのは、例年4月下旬〜5月上旬。
五稜郭の城郭内および城郭外周部に約1,600本植えられている桜の樹種のほとんどは、ソメイヨシノです。
稜堡の見晴らしの良い場所にはシダレザクラとボタンザクラがあり、ソメイヨシノとほぼ同時期に満開を迎えます。
箱館奉行所へと続く一の橋・二の橋は、早朝4時30分に開門しました。
開門直後であれば、静寂の五稜郭を満喫できます。
斜光が差し込む桜並木は奥行きが感じられ、写真撮影にもおすすめです(開門時間については都度事前のご確認を推奨します)。
空の上から
はじめに、JALの「札幌丘珠(OKD)ー函館(HKD)」便の着陸前の機内から撮影した、満開のソメイヨシノで星型を描く五稜郭です。
もしかすると、飛行機の窓越しに五稜郭の桜を望むことができるかもしれません。
五稜郭タワー展望台
五稜郭タワー展望台から望む五稜郭の桜。
ベタな一枚、観光写真です。
写真の撮影時刻は15時23分。
以降は、五稜郭タワーの影が右下部の桜並木に重なります。
16時49分。
太陽が傾いた分、桜に濃淡が付きました。
城郭
夜明け前の一の橋。
烏帽子岳と袴腰岳。
西に目を向けると、横津岳の航空監視レーダーが見えます。
いずれの山々も1,000m級です。
シジュウカラのオス。
ボタンザクラ(ヤエザクラ)。
シダレザクラと五稜郭タワー。
時計の針を、1869年の同時期に合わせます。
旧暦3月15日前後の五稜郭は、前年から始まった箱館戦争により蝦夷共和国(旧幕府軍)の本拠になっていました。
数日後には分水嶺となる宮古湾海戦、新緑がまぶしくなる頃には新政府軍の箱館総攻撃が始まります。
この時代の五稜郭に桜の木はなかったでしょうが、気候や稜堡から望む函館山の形状は似たようなものでしょう。
桜の梢枝から差し込む太陽を浴びながら、当時に想いを馳せるのも一興です。