札幌の中心部に位置する、総延長900mの狸小路商店街。
1丁目から7丁目まで屋根付きのアーケードが連なります。
その西側。
屋根付きのアーケードはなくなり、石山通まで続く3ブロック。
上を見上げてみれば、高いビルが少なく空が広い、幻の狸小路商店街「8丁目から10丁目」を探索します。
狸小路商店街の西に出ると… 8丁目から10丁目
狸小路商店街の西端に位置する、狸小路7丁目。
独特な暗がりのアーケードを西側へ抜けると、頭上には開放的な空が現れます。
狸小路8丁目、通称たぬはち。
8丁目からまっすぐ伸びる通りの奥には、アイストップとなる札幌の摩天楼、札幌プリンスホテル。
1873年からの古い歴史を持つ「狸小路商店街」の公式サイトを確認すると、「札幌狸小路商店街振興組合」に加盟しているの1丁目から7丁目まで。
国道230号線の石山通にぶつかるまでの「8丁目から10丁目」までは、狸小路商店街ではありません。
さりとて、この8丁目から10丁目にもカフェ・レストラン・居酒屋まで魅力的なお店が立ち並んでおり、町歩きが楽しい通りです。
狸小路商店街8丁目から10丁目を探索する
狸小路8丁目
8丁目の角に立つ街灯に打ち込まれた「狸小路8丁目商店街」のプレート。
かつて狸小路8丁目は札幌狸小路商店街振興組合に加盟していたものの、後に脱退した経緯があります。
昔も今も、狸小路8丁目には上部を覆うアーケードはありません。
その理由は、1958年着工の第一次アーケード建設の際、狸小路8丁目には借地が多く、地主も店主もアーケード建設の高い負担金を支払うことを避けたため。
現在の狸小路八丁目商店会は、夏に食のイベント「狸八祭」を開催するなど、独自のコミュニティを形成しています。
8丁目にある人気のカフェ、FABcafe。
アスパラとベーコンのレモンバターパスタ、チョコレートソースたっぷりのガトーショコラがおすすめのカフェです。
新しい建物では醸し出せない、風格のある古いビル。
その中には、隠れ家のような素敵なレストランも入ります。
こちらは、8丁目のビルに入るカフェ、ハリネズミ珈琲。
8丁目の南西角に位置する古本屋 八光書房は、1937年、38年頃に国誠堂という名前で開店。
戦前からの長い歴史を持つ古本屋では、珍しい書籍を多数取り扱っています。
その向かい、テンザホテル＆スカイスパ・札幌セントラルの狸小路8丁目側の入り口付近には、かつて札幌初のストリップ劇場 美人座がありました。
1954年から1975年にかけてのことです。
狸小路9丁目
狸小路9丁目の角に立つ一軒、粉雪をかぶった五衛門ラーメン。
その周囲には、容積率に対して逆方向へ抗うかのような贅沢な平面駐車場。
大都市の中心部とは思えないような広い空は、心にゆとりを与えてくれます。
狸小路9丁目は戦後に拓かれたエリアで、引揚者のバラック住宅が並んでいました。
五衞門ラーメンから、鮨処しら菊までです。
1950年代には、小ススキノと呼ばれる歓楽街に。
南二条通りに現存する安全モーター商会の西側から狸小路9丁目にかけては、旧祇園小路という小さな飲食街がありました。
現在は平置き駐車場になっていますが、狸小路9丁目のジンギスカン 結び亭の東側には、祇園小路の道路幅員を想起させるようなスペースが残っています。
狸小路10丁目
狸小路10丁目。
旧旅館の建物で、半世紀以上にわたり親しまれた老舗の焼き鳥店、金富士酒場。
入口の扉に貼られているのは、常連客の方々が書き記した感謝の寄せ書き。
その向かい、ひょうたん横丁。
常連さんが集う老舗の焼き鳥屋さん、スナック、居酒屋が並びます。
元々は東西にお店が並んでいて通り抜けができ、ひょうたん小路と呼ばれていました。
昭和の名残を感じる10丁目の先に鎮座するのは、近代的なデザインの札幌プリンスホテル。
札幌の街を彩る新旧のコントラストです。
狸小路商店街1丁目から続く総計10ブロックの道は、最終的に国道230号線（石山通）にぶつかり、途切れます。
参考文献：『さっぽろ文庫36 狸小路』札幌市・札幌市教育委員会（著）／昭和61年3月27日発行
狸小路商店街 Tanukikoji Shopping Arcade, Sapporo
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北海道図絵1871 復刻版
