札幌市の中心部から気軽にアクセスできる標高225mの山、円山(Mt. Maruyama)へ。
円山 Mt. Maruyama
近代都市 札幌の始まりの地、とも言えましょう。
1869年(明治2年)、開拓判官の島義勇は円山(Mt. Maruyama)の頂に上り、札幌の雄大な景色を夢に描きながら漢詩を残します。
「河水遠流し 山隅にそばだち 山辺寺 平原千里 地は膏沃なり
四通八達 宜しく府を開くべし 他日五州の第一都たらん」
円山から東に一直線、大通。
約一里の地点に創成川を掘削。
京都を模した碁盤目状区画を基礎とする「札幌」の構想が生まれた場所です。
碁盤の目のように綺麗に区画された街並み、京都東山の円山公園からそのまま名付けられた円山地区は、ハイソな雰囲気が漂うエリア。
その円山公園の南東側に位置する円山は、山一帯が「円山原始林」として国の天然記念物に指定されており、山の中には大正時代に開拓された自然歩道が整備されています。
現代において「モイワ」といえば、藻岩山。
しかし、アイヌの人々が元来「モイワ(小さな山)」と呼んでいたのは、円山です。
北海道神宮・円山動物公園近くにある登山道からアクセスでき、往復の所要時間「2時間」と、気軽にハイキングを楽しめるスポット。
山頂の岩場からは、札幌の街並み・ランドマーク、遠景に夕張山地の稜線を望むことができます。
円山のコースマップ Mount Maruyama Trekking Routes
ハイキングコースは2種類。
大師堂コース 北の「八十八ヶ所入口」が起点 |
上り 0:40 | 下り 0:30 |
動物園コース 西の「円山動物園」が起点 |
上り 0:50 | 下り 0:40 |
円山原始林ハイキング
大師堂コース
円山原始林は藻岩山原始林とともに、大正時代に国の史跡名勝天然記念物に指定されています。
人の手の一切が加えられておらず、豊かな植物相・動物相がそのまま保存されています。
その原始林が、200万人都市札幌の街の中にある。
これはまさに稀有であり、札幌の宝と言えましょう。
上りは「八十八ケ所入口」から出発する大師堂コース、下りは「円山動物園」へ降りる「動物園コース」。
1915年、弘法大師空海を祀り建てられた「円山八十八ヶ所大師堂」の脇に入り口があります。
1914年(大正3年)、円山原生林を周知するために円山村の開拓功労者である上田万平と上田善七が国の許可のもと、私費で登山道を開きました。
円山八十八ヶ所霊跡は四国弘法大師の遺跡八十八ヶ所所にちなみ、成田山親栄寺の住職である神野実雄らによって造られました。
八十八ヶ所入り口から円山山頂まで点在する観音像。
一番から八十八番まで番号が振られている。
大師堂コースの見どころはカツラ、ミズナラ、センノキなどの巨木。
時折梢の方を見やると、鳥やエゾリスの姿も見えました。
エゾリスさんを発見。
観音像の八十八番。
まもなく、頂上です。
円山山頂
円山山頂(標高225m)。
東側の札幌市街を望む。
札幌のランドマークを一望。
札幌駅のJRタワー(T38展望台)、さっぽろテレビ塔、札幌プリンスホテル、丘珠空港の滑走路まで。
南側の藻岩山方面。
紅葉シーズンに差し掛かる時期ということもあり、山の木々には秋色のグラデーション。
札幌ドーム。
野幌森林公園、北海道百年記念塔。
奥には、夕張山地の夕張岳。
1872年(明治5年)、開拓使が庁舎を新築する際に必要な石材を円山の山頂から掘削。
請負人の大岡助右衛門や石工職人が建立した、山神の碑。
日本神話の大山祇神(おおやまつみのかみ)を祀っています。
円山山頂の岩場。
石材の切り出しが行われた名残です。
動物園コース
円山公園へ下りた後は、北海道神宮敷地内にある六花亭の神宮茶屋店で限定販売されている「判官さま」を食べて休憩。
そば粉入りのお持ちで餡子を包んだお菓子です。
円山の場所・行き方・アクセス
地下鉄東西線「円山公園駅」から「円山八十八ヶ所大師堂入り口」まで徒歩約10分。
Location:〒060-0000 北海道札幌市中央区円山
Website:maruyamapark.jp/
参考文献:『さっぽろ文庫12 藻岩・円山』札幌市・札幌市教育委員会(著)/昭和55年3月25日発行
『さっぽろ文庫1 札幌地名考』札幌市・札幌市教育委員会(著)/昭和52年9月26日発行