北海道恵庭市の道の駅「花ロードえにわ」敷地内に開業した米国マリオット系ブランドのホテル、フェアフィールド バイ マリオット北海道えにわ(Fairfield Hokkaido Eniwa)の宿泊記です。
フェアフィールド バイ マリオット北海道えにわ Fairfield Hokkaido Eniwa
支笏洞爺国立公園 恵庭岳の北西にある標高1,318mの火山、漁岳(いざりだけ)。
西側の斜面を伝って流れる水はやがて豊平川へと合流し、豊平峡ダム、定山渓、札幌市内を抜けて石狩川へと合流、太平洋へと注ぎます。
その反対側、漁岳の東側斜面を流れるのは漁川(いざりがわ)。
アイヌ語でイチャニ(サケの産卵場所)が語源の母なる川は、恵庭渓谷・漁川ダム(えにわ湖)・恵庭市内を抜けて千歳川に合流、最終的には石狩川に合流して太平洋に注ぎます。
その漁川沿いに位置する北海道恵庭市の道の駅「花ロードえにわ」。
立地をひとことで表すならば、「新千歳空港と札幌の間にあり、ほぼ新千歳空港寄り」。
敷地の西側は国道36号線に面しています。
札幌から新千歳空港を結び、最終的には室蘭へと続く幹線道路です。
開拓使時代のお雇い外国人ホーレス・ケプロンが発案した「札幌本道」に端を発する、北海道においては長い歴史を持つ道路のひとつ。
積水ハウスが「Trip Base 道の駅プロジェクト」と題した事業は、日本各地の道の駅で展開しており、北海道内では「花ロード恵庭」「長沼マオイの丘」「南富良野」の3ヶ所です。
道の駅に宿泊施設を併設するという、社会実験とも思しき、このプロジェクト。
Trip Base 道の駅プロジェクトのフェアフィールドホテルについては、敷地内にレストランがありません。
「宿泊特化型」ということで、食事やその他体験は道の駅や地域のお店を利用するというスタイル。
道の駅という立地的な性質に加えて、宿泊の前後の体験に重きを置いているだけに、車(レンタカー)は必須となります。
フェアフィールド バイ マリオット北海道えにわ(Fairfield Hokkaido Eniwa)の総客室数は102室。
客室にスイートルームはなく、全室がキングサイズベッドまたはツインベッドのツインルームです。
建物は4F建て、客室の向きは北西向き(花の拠点 はなふる側)と南東向き(漁川側)。
道の駅 花ロードえにわ
北海道には120を越える道の駅があり、その特色は千差万別です。
「花ロードえにわ」の最大の魅力は、恵庭市民主導による花のまちづくりを体現する敷地内のガーデン「花の拠点 はなふる」でしょう。
道の駅にあるガーデンとしては道内屈指であり、かつ同じく恵庭市内にある「えこりん村(びっくりドンキーの企業が運営する牧場・ガーデン)」とともに、道央を代表するガーデンです。
ガーデンフェスタ北海道2022のメイン会場でもあります。
花の拠点 はなふるはコンセプトごとに7つのガーデンに分かれており、えこりん村、旭川の「上野ファーム」の上野砂由紀さんを始めとするガーデナーさんが参画しています。
北海道では、道北・十勝エリアの8つのガーデンを巡る「北海道ガーデン街道」が人気を博します。
先述した旭川の「上野ファーム」、富良野の「風のガーデン」など。
これらのガーデンは、敷地に高低差があるため景観に奥行き・輪郭がある点が魅力的です。
他方、花の拠点 はなふるのガーデンは、高低差がほとんどなく平坦。
主要な歩道はアスファルト舗装されています。
この点は良くも悪くもという見方もできるものの、良い面を取り上げれば、バリアフリーなので足が不自由な方や小さなお子さん連れのファミリーも散策がしやすいです。
その他、こちら道の駅では恵庭市内の「えこりん村」で放牧飼育で育てた豚「こな雪とんとん」を使ったカレー・うどん、えにパンの焼きたてパンなどのグルメ、地元の人でも賑わう農畜産物直売所「かのな」の野菜販売が人気です。
200万人都市の札幌と、北海道の玄関口である新千歳空港の間。
花ロードえにわは、その立地から北海道の道の駅の中でも一二を争う来場者数でしょう。
道の駅の駐車場は、平日も満車です。
スタンダード キングルーム Standard 1 King
宿泊する客室はスタンダード キングルーム(Standard 1 King)。
広さは21㎡です。
ベッドルーム
窓際に冷蔵庫、それに並ぶ形で最大2人掛けのソファ、円形のテーブルが1つ。
キングベッドの両端にA型コンセント、USBの充電口があります。
クローゼットはなく、客室扉隣の壁にフック、ハンガー、折りたたみ式バゲッジラックの用意があります。
黒松内産のミネラルウォーター、ドリップコーヒー、紅茶のティーバッグの用意があります。
こちらはマリオット上級会員の特典でいただいた、恵庭えびすくんサイダーです。
レセプション脇にある売店で買うこともできます。
一点変わったものとして、靴乾燥機の用意がありました。
花の拠点 はなふる、恵庭渓谷、支笏湖などの屋外の散策、雨雪の際に役立ちそうです。
客室からは北側のガーデンを一望できます。
開業当初の写真では寂しさが残るものの、樹木の成長にガーデンの経年変化が加われば、来春以降に魅力的な景観になると思われます。
特にホテル目の前にあるコンセプトガーデン「大きなカステラが焼けるお庭」のパーゴラの変化が楽しみです。
遠景。
約4万年前の支笏火山の噴火により、日本で2番目に大きいカルデラ湖である支笏湖が誕生。
その湖の北西側、約2万年前の噴火で誕生したのが恵庭岳です。
バスルーム
洗面台周辺は、省スペース設計。
洗面台前のスペース一箇所で、洗面台、トイレ、シャワーブースへの移動経路を兼ねています。
ベッドルームと対面型になっているものの、スライド式ドアで開閉可能です。
シャワーブースのみで、バスタブはありません。
シャワーのタイプは2タイプ、レインシャワーとハンドシャワー。
お風呂に入りたいゲストは地元の温泉に誘導する方針とのことで、近隣には「えにわ温泉 ほのか」「恵庭温泉 ラ・フォーレ」があります。
個人的には、日帰りの場合は入浴時間が限られるものの、支笏湖の丸駒温泉がおすすめです。
日本の化学メーカーの微妙なサイズのユニットバスをこちらのホテルに付けても、使用する人は少ないという判断でしょうか。
欧米の方々であれば、バスタブに入る習慣がある方は少ないですし。
アメニティ
ロビーラウンジ
1Fのロビーラウンジには、ソファ席、コワーキングスペースのように各席に充電用コンセントが用意されたテーブル席、テラス席があります。
バードフレンドリーのコーヒー豆を使用したWMFのコーヒーマシン、緑茶・ほうじ茶のティーバッグ、インスタント味噌汁の用意があり、24時間利用できます。
電子レンジ、トースター、製氷機は壁に埋め込み式でスマート。
余談ですが、ホテルから新千歳空港までは車で片道約17km、約25分。
早起きして、美瑛選果 新千歳空港店のまめぱん・コーンぱんを買ってくるという選択肢もあります。
1Fのランドリー。
早朝のガーデンを散歩する
道の駅なので、ガーデンには営業時間がありません。
早朝であれば、人がいないガーデンを散歩できます。
一般的なガーデン同様、現在咲いているお花の一覧が写真付きで提示されています。
お花が好きな方は、早朝から有意義な時間を過ごせるでしょう。
恵庭農畜産物直売所かのなで野菜を買う
北海道産野菜を探すのも、北海道の道の駅の楽しみのひとつ。
北海道に移住以来、QOLが上がった要因を数えれば枚挙にいとまがないですが、そのひとつが野菜です。
恵庭農畜産物直売所かのなは、恵庭産を中心に産直野菜を多数取り揃えており、地元の方々にも人気があります。
道外にお住まいの場合は野菜を持って帰るのは荷物が増えて大変かもしれませんが、旬の野菜や珍しい野菜を1つでも買ってみてほしいです。
内地へ配送も可。
秋に花ロードえにわへ寄ったときは、恵庭産の多種多様なかぼちゃがずらりと並んでおり、ハロウィンデコレーション向けのかぼちゃも販売していました。
フェアフィールド バイ マリオット北海道えにわの場所・行き方・アクセス
えこりん村から車で4.8km、約11分
新千歳空港から車で17.3km、約27分
白扇の滝から車で20.3km、約26分
支笏湖ポロピナイから車で42.2km、約50分
ホテルの駐車場への入り口は国道36号線側でなく、北西側の道路にあります。
カーナビがある場合はマップコード「230 220 567*85」を入力してください。
夜に恵庭市内の飲食店に出かける場合については、片道分のみタクシーチケットをもらえます。
感想・総評
個人的には、支笏湖のマジックアワー時間帯の撮影、集中してプログラムを書くためのワーケーション先として利用する機会がありそうです。
しかし一方で、札幌と比較して「この場所に宿泊するべき理由」を探すと、正直、弱い。
えこりん村も恵庭渓谷も、札幌にある観光施設や景勝地とは異なる独自の魅力を持つ素晴らしい場所であるのは確かですが、それが「道の駅に宿泊する理由」に直結するかと言えば、そうとも限りません。
言い換えれば、どちらのスポットも札幌から車で1時間弱で行けるので。
早朝の人が少ない、割合静かなガーデンを散策できる。
この点は、お花好きの方にとっては宿泊すべき理由になり得るかもしれません。
道北に8箇所ある北海道ガーデン街道のガーデンは営業時間がある一方、花ロードえにわは道の駅なので、好きな時間帯に散策できます。
新千歳空港へ降り立つのが複数回目で、以前訪れたことがある札幌にはあえて立ち寄らないドライブ旅行プランもあり得るかもしれません。
十勝方面から北海道ガーデン街道巡り、富良野のラベンダー畑を経由して旭川へ出るなど。
いずれにせよ、Trip Base 道の駅プロジェクトのウェブサイトには、周辺の見どころや飲食店の情報を載せるだけでなく、「誰が」「道の駅に宿泊することによってどのような体験ができるのか」まで落とし込んで提案すべきでしょう。
明確なそれがあるが故に、道の駅にホテルをつくったのでしょうから。
住所:〒061-1375 北海道恵庭市南島松828-9
電話番号:0123-29-6250
チェックイン:15:00〜
チェックアウト:〜11:00