北海道夕張郡長沼町にある道の駅「マオイの丘公園」敷地内に開業した米国マリオット系ブランドのホテル、フェアフィールド バイ マリオット北海道長沼マオイの丘公園(Fairfield Hokkaido Naganuma)の宿泊記です。
フェアフィールド バイ マリオット北海道長沼マオイの丘公園 Fairfield Hokkaido Naganuma
マオイとは、アイヌ語で「ハマナスの実が多いところ」。
ハマナスは海岸に自生する低木です。
漢字表記では、馬追。
道央は空知地方、石狩平野の東側に構える馬追丘陵の西側裾野に、田園風景が広がっています。
農業のまちとして知られる夕張郡長沼町は、北海道179市町村の中で大豆の生産量道内1位、白菜と長ネギが道内2位。
道内有数の米どころであり、農家がお酒を製造できる「どぶろく特区」に指定されています。
長沼町の名は、開拓後に枯渇・消滅した沼、タンネトーの和名に由来しています。
幕末の冒険家であり、北加伊道の名付け人である松浦武四郎の『夕張日誌』においても、マヲイとともにその名を確認できるでしょう。
タンネトーも、明治初期にかつて存在した石狩大湿原(99.9%消滅)のように、道央エリアにおけるタンチョウやチュウヒをはじめとする湿地性鳥類の繁殖地として、重要な役目を担っていたのかもしれません。
その長沼町にある道の駅、マオイの丘公園。
国道337号線と樹海ロード国道274号線が交差する、道央と十勝を結ぶ交通の要衝ともいえる立地。
三角形のガラスのピラミッドが目印です。
その敷地内にある宿泊施設、フェアフィールドバイマリオット北海道長沼マオイの丘公園(Fairfield Hokkaido Naganuma)。
積水ハウスが「Trip Base 道の駅プロジェクト」と題した事業は、日本各地の道の駅で展開、北海道内では「花ロードえにわ」「長沼マオイの丘」「南富良野」の3ヶ所にあります。
道の駅に宿泊施設を併設するという、社会実験のようなプロジェクト。
Trip Base 道の駅プロジェクトのフェアフィールドホテルについては、館内にレストランがありません。
「宿泊特化型」ということで、食事やその他体験は道の駅や地域のお店を利用するというスタイル。
総客室数は78室。
客室にスイートルームはなく、全室がキングサイズベッドまたはツインベッドのツインルーム。
建物は3F建て、客室の向きは南西向きと北東向き。
道の駅マオイの丘公園
北海道内には120を超える道の駅が点在しており、その特色は様々です。
道の駅マオイの丘公園を語るに、直産野菜販売所は外せません。
複数の店舗が参加しており、新鮮な野菜がずらりと並びます。
新鮮野菜を見て回って買うことそのものが、もはや観光体験の一角を担うと言えるレベルです。
直産野菜販売所は南側のパークゴルフ場跡地に移設されます。
年間通して販売できる環境を整えるにしても、今のマーケットのような雰囲気は残してほしい。
それが、この野菜直売所の他にはない魅力なので。
道の駅の1Fはカルディ、2Fには薪を使った窯焼きナポリピッツァのピザレストラン、屋上に展望台があります。
写真は長沼産たまごを使ったピッツァ、トニーノ セヴェリーナ。
スタンダード キングルーム Standard 1 King
宿泊する客室はスタンダード キングルーム(Standard 1 King)。
広さは21㎡。
ベッドルーム
窓際に冷蔵庫、最大2人掛けのソファ、円形テーブル。
キングベッドの両端にA型コンセント、USBの充電口があります。
クローゼットはなく、客室扉隣の壁にフック、ハンガー、折りたたみ式バゲッジラックの用意があります。
黒松内産のミネラルウォーター、ドリップコーヒー、紅茶のティーバッグの用意があります。
こちらはマリオット上級会員の特典でいただいた、夕張メロンゼリー。
レセプション脇にある売店で買うこともできます。
バスルーム
洗面台周辺は、省スペース設計。
洗面台前のスペース一箇所で、洗面台、トイレ、シャワーブースへの移動経路を兼ねています。
ベッドルームと対面型になっているものの、スライド式ドアで開閉可能です。
シャワーブースのみで、バスタブはありません。
シャワーのタイプは2タイプ、レインシャワーとハンドシャワー。
お風呂に入りたいゲストは地元の温泉に誘導する方針とのことで、近隣には「ながぬま温泉」があります。
アメニティ
ロビーラウンジ
1Fのロビーラウンジには、ソファ席、コワーキングスペースのように各席に充電用コンセントが用意されたテーブル席、テラス席があります。
バードフレンドリーのコーヒー豆を使用したWMFのコーヒーマシン、緑茶・ほうじ茶のティーバッグ、インスタント味噌汁の用意があり、24時間利用できます。
電子レンジ、トースター、製氷機は壁に埋め込み式。
1Fのランドリー。
周辺の見どころ
舞鶴遊水池 マオイトー
激動の時代に北海道へと渡り、幾度と氾濫に見舞われながらも今日を生きるために必死に開拓に勤しんだ先人たちの労苦を思うとともに、その一方で、湿地に住まうものたちは居場所を失いました。
2020年、遊水池マオイトーに国の特別天然記念物であるタンチョウのヒナが誕生。
祖父母あるいは祖祖父母が持つ遥かな記憶と重なる、その小さな美しい曲線を目にした時の長沼町の人たちの内なる喜びは、いかほどのものだったでしょう。
釧路湿原とは規模その他諸々違うとはいえ、道央でタンチョウを観られる観光スポットになる、可能性を秘めた場所なのではないでしょうか。
3回訪れて、1度だけ、タンチョウが羽ばたいている姿を見ることができました。
もし見られなかった場合は、上空に赤い飛行機が通りましたらご覧ください。
そちらに描かれている赤い鳥のマークが、タンチョウです。
マオイ文学台
石狩平野の東側に構える馬追丘陵には、小説家の辻村もと子が開拓初期の長沼を描いた小説『馬追原野』を祈念して碑文が刻まれたモニュメントが、佇んでいます。
石狩平野の向こうには、石狩エリアを代表する名峰が並ぶ。
沼地と蛇行する川が田園と直線のアスファルトに置き換わったとしても、連なる山の稜線は過去何千年と変わらないでしょう。
隠れた夕日鑑賞スポットです。
Google Mapsはおろか、国土地理院地図においても、道中の表示がありません。
「さようなら1980年」を彷彿とさせる、ひらけた感じが良い。
おそらく、変に張り切って整備すると、まるで良さが消えて味がしなくなりそうなので。
ながぬま温泉
源泉温度49.8℃の源泉かけ流しの温泉。
とろりとした肌触りのお湯は、PH7.6、1分間の湧き出し量1,150リットルの弱アルカリ性高張性高温泉。
温泉の後は、長沼温泉ジンギスカン。
味付きジンギスカン3種食べくらべのコストパフォーマンス。
フェアフィールド バイ マリオット北海道長沼マオイの丘公園の場所・行き方・アクセス
エスコンフィールドHOKKAIDOから車で16.3km、約18分
新千歳空港から車で20.7km、約20分
夕張滝の上公園から車で24.8km、約26分
ホテルの駐車場への入り口は国道274号線側でなく、南西側にあります。
カーナビがある場合はマップコード「230 416 487*35」を入力してください。
感想・総評
源泉かけ流しの長沼温泉、長沼ジンギスカン、ハイジ牧場の体験、マオイトー、マオイ文学台から十勝平野と道央の名峰の向こうに沈む夕日、キウス周堤墓群(縄文遺跡)、由仁ガーデンのコキア、夕張市の炭鉱博物館、滝の上公園の紅葉、むかわ町の恐竜(博物館)、9月下旬であればむかわ町で旬のししゃもを食べて…。
この地をまったく知らない方が周辺マップを見た際に、「ここを拠点にどのような旅行ができるのか」まで具体的に想像できるのは、わずかでしょう。
少なくともそれらを提案するのがTrip Base Styleのウェブサイトの役割なのでは…。
そもそも、マーケティングそのものが、丸ごとごっそり抜け落ちている気配すら感じます。
このプロジェクトがどのような過程で進められてきたのかに、興味があります。
こういうケースはえてして、現場にしわ寄せがいきそうで、若干気の毒です。
住所:〒069-1464 北海道夕張郡長沼町東10線南7番地
電話番号:0123-76-7795
チェックイン:15:00〜
チェックアウト:〜11:00