マレー半島南端に位置し、シンガポールとの国境を背にするマレーシアの都市、ジョホールバル(Johor Bahru)。
1997年に行われたサッカーフランスW杯1998最終予選、延長戦でイランを破り本大会出場を決めた「ジョホールバルの歓喜」の地としても知られています。
旅行記形式(時系列)で、ジョホールバル旅の模様をお届けします。
目次 表示
- シンガポールと国境を接する町 ジョホールバル Johor Bahru
- シンガポールからジョホールバルの行き方
- マレーシアリンギットの両替所
- JBセントラル周辺
- Kam Long Curry Fish Head(金龍咖喱魚頭)
- ジョホール州政府庁舎 Bangunan Sultan Ibrahim
- シンガポールとの国境(海岸線)沿いを歩く
- スルタン アブ バカール モスク Sultan Abu Bakar Mosque
- 王立霊廟 Makam Diraja Mahmoodiah
- ブキット セレネ宮殿 Istana Bukit Serene
- Taman Lagunaの海岸
- ぼったくり観光案内と口論
- 柔怫古廟 Johor Old Chinese Temple
- スリ ラジャカリアマン グラス寺院 Arulmigu Sri Rajakaliamman Glass Temple
- おわりに
シンガポールと国境を接する町 ジョホールバル Johor Bahru
マレーシアおよびマレー半島最南端に位置する州、ジョホール州。
その州都が、ジョホールバル(Johor Bahru)です。
隣国のシンガポール中心部から、わずか20km。
国境には幅員約1kmのジョホール水道があります。
第二次世界大戦前、英領マラヤの一部だったジョホール王国と海峡植民地シンガポール。
1963年、イギリスの植民地マラヤ連邦・シンガポール、イギリスの保護国ボルネオ島のサバ州とサワラク州を加え「マレーシア連邦」として独立。
しかし「マレー人が大部分を占めるマレーシア」と「華人の多いシンガポール」はすれ違い、やがてマレー人と華人の間で死者を出す大規模な衝突が発生。
1965年、最終的にシンガポールはマレーシアから追い出される形で独立します。
現在、ジョホールバルでは大規模開発のイスカンダル計画(Iskandar Malaysia)が進行中。
アジアを代表する国際金融センターシンガポールからわずか20kmという地の利を活かし、「香港 – 深圳」のような相互補完関係を築くべく、急ピッチで不動産開発が進められています。
シンガポールからジョホールバルの行き方
シンガポールの国境越えバス・タクシーの乗り場
「シンガポール – ジョホールバル」の国境越えバス・タクシーの乗降場は「アラブストリート」エリアの近く。
EastWest Line・Downtown Lineのブギス駅最寄りのQueen Street Terminalにあります。
Queen Streetにあるジョホールバル行きバス。
直通バス2種類(Causeway Link、SJE)、路線バスSBS Transit 170番線があります。
- Causeway Link(CW)
- Singapore – Johore Express(SJE)
- 路線バスSBS Transit 170(170)
バスのルート | 始バス | 終バス | 料金(キャッシュ) | 料金(Manjalink) |
Queen Street – JB | 23:45 | 23:45 | S$3.30 | S$3.00 |
JB – Queen Street | 4:00 | 23:00 | RM3.40 | RM3.10 |
今回はコーズウェイリンク(Causeway Link)のバスを利用しました。
料金はQueen Street – JBがS$3.30、JB – Queen StreetがRM3.40。
SGD/MYR為替レート3.00前後であることを考えた場合、「ジョホールバル→シンガポール」行きは「シンガポール→ジョホールバル」よりも3分の1程度の料金で済むことに。
Larkin Sental行きの乗り合いタクシー乗り場も隣接しており、運賃は1人あたり片道S$12。
1台貸し切ると片道S$48です。
入出国 Immigration
Queen Streetから、バスに揺られること40分弱。
ウッドランドにあるシンガポール側のイミグレーションに到着。
この後の流れは、以下の通り。
- シンガポール出国審査
- バス再乗車でジョホールバルへ移動
- マレーシア入国審査
シンガポールを出国し、CWのバスに再乗車。
シンガポールとジョホールバルのジョホール水道に架かる橋「ジョホールコーズウェイ(Johor Causeway)」を渡ります。
徐々に、異国の地ジョホールバルの風景が見えてきました。
ジョホールバルのマレーシア入国イミグレーションは大混雑。
トータル18レーンあるものの、行列があるので入国までに30分弱並びました。
結局、シンガポールのバスターミナルを出発してからマレーシア入国するまでに要した時間は「約2時間」(週末は混雑していて移動・出入国審査でトータル3時間以上かかることも)。
マレーシアリンギットの両替所
マレーシアの通貨はリンギット。
両替所はイミグレ後、JBセントラル、シティスクエアにそれぞれあります。
イミグレ後よりもJBセントラルとシティスクエアにある両替所の方が若干為替レートがいいので、両替はそちらで。
JBセントラル周辺
マレー鉄道KTMのJBセントラル駅。
現在はシンガポール側の国境となるウッドランズ駅まで接続。
その奥は廃線となり、廃駅のブキッティマ駅、タンジョンパガーの駅舎が残ります。
マレーシアおよびジョホール州の威信を賭けたプロジェクト「イスカンダル計画」のデベロッパーと販社が、模型や資料を展示していました。
JBセントラルとシティスクエアを結ぶ橋の上から、南側方面を望む。
奥にはシンガポール ウッドランズの高層マンションが見えます。
その間に、ジョホール水道を挟み国境があるとは到底思えません。
JBセントラルと隣接するショッピングモール シティスクエアは整然として綺麗。
しかし、一歩外に出れば、東南アジアらしい雑然とした雰囲気が漂います。
ねっとりとまとわりつくような、湿度と暑さは、シンガポールと何ら変わりません。
街の第一印象は、シンガポールのアラブストリートとリトルインディアを混ぜたような感じ。
そこに、シンガポールのベイエリアのビルを建てて押し込んでいるよう。
地権者との交渉が進まず用地買収できないのか、空き地も目立ちます。
中国の深圳も、開発当初はこのような混沌と整然が入り混じる世界だったのかもしれません。
西を見るとインド人街とヒンドゥー寺院、坂の上にはジョホール州の州庁舎。
Kam Long Curry Fish Head(金龍咖喱魚頭)
Jalan Wong Ah Fook沿いにあるフィッシュヘッドカレーのお店、Kam Long Curry Fish Head(金龍咖喱魚頭)。
今回注文したのはフィッシュヘッドカレーMedium(RM35)とライスSmall(RM0.60)。
魚の頭丸々、湯葉、オクラ、キャベツがグツグツと煮込まれており、大変美味。
ココナッツミルクが効いていてマイルドです。
訪れたのは13時頃、20人弱の行列ができていました。
英語は通じず、マレーシア語や中国語しか話せない店員さんが何人かおり注文に一苦労。
1人ならSmall、2人ならMedium、3〜4人ならLargeが適量だと思います。
住所:74, Jalan Wong Ah Fook, Bandar Johor Bahru, 80000 Johor Bahru, Johor, Malaysia
電話番号:+60 16-752 8382
営業時間:8:00〜17:00
ジョホール州政府庁舎 Bangunan Sultan Ibrahim
Bukit Tinbalanの丘にそびえ立つ、ジョホール州政府庁舎(Bangunan Sultan Ibrahim)。
コロニアル建築でありながら、壁面には馬てい形のアーチ、イスラム建築の装飾が施されています。
1938年に建築開始し、1942年に完成。
日本軍が英領マレー攻略で占領し、シンガポール攻略においては軍の司令室として使われていた建物。
シンガポールとの国境(海岸線)沿いを歩く
マレーシア側の海岸線からシンガポール側を見るため、海岸線へ向かう。
奥に見える建物はシンガポール ウッドランドのイミグレーションです。
海岸線のSultan Abu Bakar Monumentというモニュメント。
海岸沿いにデパートのような大きな建物があるので近寄ってみたら…、その正体が分かりました。
シンガポールとマレーシアの国境にあるコーズウェイブリッジから見えた巨大な建物は…「廃墟」だったのです。
「The Fashion Expert」の文字が、その意図とは逆に、寂しさを増幅させるのに一役買っています。
廃墟の脇道から奥へ進むと、ジョホール水道に架かる桟橋JB Water Frontへ。
寂れた看板越しに対岸に見えるのは、マレーシア連邦から追い出したシンガポール。
存外、国境を感じられる場所という意味においては、ジョホール水道沿いはおすすめかもしれません。
ただし、お世辞にも決して雰囲気は良くはない。
スルタン王宮博物館内はマレーシア軍隊が集まっており、入ることができず。
仕方なく、海岸沿いを歩いてモスクを目指す。
途中、歩道がなくなり、落ちたらドブ真っしぐらの側溝沿いを進む。
すると、対向車の赤い車が1台速度を落として、やがて停まり、声をかけてきた。
「そこは危ない、反対側は歩道があるからそっちに渡れ!」
表面上は「お気遣いありがとう」と言いつつも、この交通量じゃ渡れませんよ、そもそも国道ならマレーシア政府、州道ならジョホール州に言ってくれ、なぜ途中から歩道がない!
半ば、悪態をつきながら側溝沿いを進みます。
そのまま10分ほど歩き、あと少しでアブバカールモスクに到着。
というところで、先ほどの赤い車の運転手が再び声をかけてきた。
どうやら途中でUターンして戻ってきたらしい。
「大変そうだから乗せてやるよ!」
今振り返ると不思議ですが、この時は安全なシンガポールに慣れて平和ボケしていたためか。
少しも疑うことなく、乗ってしまいました。
過去にローマとドバイでぼったくりタクシーに遭遇しているため、どの国・都市でもタクシーに乗る際は警戒するのですが、観光案内には警戒心ゼロ。
途中でぼったくり観光案内と気付くも…。
辺鄙な場所で降ろされるのも面倒。
それならばと、最後まで乗ることを決断。
スルタン アブ バカール モスク Sultan Abu Bakar Mosque
ジョホールバル観光最大の見どころ、青い屋根と白い外壁が印象的なアブ バカール モスク(Abu Bakar Mosque)。
マレー半島南端に港湾を作りジョホールバルと命名したスルタン、アブ バカールの名を冠しています。
1893年に建設開始、8年の時を経て1900年2月2日に完成したマレーシアを代表するモスクのひとつ。
修理中で休館していました。
無料ですが、モスクでのケバヤの貸し出しはないため服装にはご注意ください。
王立霊廟 Makam Diraja Mahmoodiah
1895年に建築されたジョホール州のスルタン墓地、王立霊廟(Makam Diraja Mahmoodiah)。
ブキット セレネ宮殿 Istana Bukit Serene
ブキットセレネ宮殿(Istana Bukit Serene)。
ジョホール州スルタンの王宮です。
もはやJBセントラルから徒歩移動では来れないエリアに。
Taman Lagunaの海岸
橋を西に渡り、Taman Lagunaというリゾートを抜けて、海岸へ。
ジョホールバルの都心部から大して離れていないというのに、水上居民の古屋が並びます。
観光名所ではありませんが、普通の旅であれば来ることができない場所。
そういう意味では、良かったのかもしれない。
ぼったくり観光案内と口論
約1時間にわたり観光案内の車に乗車し、最終的にJBセントラルへ。
わたしの心の中では、50リンギット(当時のレートで約1,300円)しか払わない、と決めていました。
案の定「金を支払え」と言ってきたので、50リンギット札を渡して「サンキュー」と言い去ろうとしたところ。
「50リンギットでは少なすぎる!250リンギット(約6,500円)だ!遠いところまで案内しただろ!」
仕方がない。
ここからは日本語のみで、まくしたてる。
最終的に、相手が100リンギット(約2,600円)の折衷案を提案してくるも、こちらの答えはNo!
50リンギット紙幣のみ渡し、車を下車して立ち去りました。
偶然にも危険な相手ではなかったので事なきを得たものの、お金を支払って切り抜けた方が良いケースもあるでしょう。
そもそも、海外で突然に声を掛けてきた相手を信用してはなりません。
ジョホールバル観光をされる方はくれぐれもご注意を!
まあ、しかし。
100リンギットぐらい払ってあげても良かったかな…とも思いつつ。
気を取り直し、JBセントラル周辺のスポットだけ見学して、シンガポールへ帰ります。
柔怫古廟 Johor Old Chinese Temple
JBセントラル近くの中国寺院、柔怫古廟(Johor Old Chinese Temple)。
入場無料。
スリ ラジャカリアマン グラス寺院 Arulmigu Sri Rajakaliamman Glass Temple
辺鄙な場所にあるヒンドゥー寺院(Arulmigu Sri Rajakaliamman Glass Temple)。
入場料10リンギット。
おわりに
ジョホールバルの滞在時間は、5時間弱。
正直な感想を述べるならば、シンガポールから無理してまで観光で行くような場所ではないと思います。
マレーシア政府観光局もジョホール州も、観光客誘致に注力してるとはとても思えません。
唯一の救いは、フィッシュヘッドカレーが美味しかったことか。
「マレー鉄道縦断旅」の旅プランのひとつとして。
あるいは、島国日本では馴染みのない「陸路による国境超え」を気軽に体験できる点は良いかもしれません。
「イスカンダル計画」により、今後数十年でジョホールバルの街並みは、一体どのぐらい変わるのか。
そのような点に着目し、10年後あたりにジョホールバルを再訪して、今昔を比較してみるのも面白そうではあります。
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