マレーシアの世界遺産マラッカ(Melaka)。
西洋の国家が築いた歴史的建造物の広場に、光を放つ派手なトライショーが並び、大音響を鳴らしている。
人種のるつぼマレーシアを象徴するような町です。
マラッカ観光の見どころ・旅行ガイドを写真を交えてまとめます。
マラッカ Melaka(Malacca)
マラッカ(Melaka、Malacca、馬六甲)は、マレーシアの首都クアラルンプールから約120km南東の場所にある、マラッカ海峡に面する都市。
左上:1508年、マラッカ王国の統治時代
右上:1512年にポルトガル人が建築したマラッカ砦
左上:1668年、ダッチ統治時代のマラッカ砦
右下:1807年にイギリスにより破壊された後のマラッカ砦
1402年に初代スルタン パラメスワラにより成立したマラッカ王国。
マラッカの地は、明やインドのグジャラート朝、ジャワなどの他国との貿易で繁栄しました。
1511年、アジアに触手を伸ばすポルトガルの攻撃を機に占領下に置かれ、マラッカ王国は消滅します。
ポルトガル統治時代の名残は、セントポール教会、砦跡、代々受け継がれたポルトガル料理店などに見られます。
1641年にはオランダの統治下に置かれ、現オランダ広場前にあるキリスト教会やスタダイスが築かれました。
1824年、英蘭協約締結により大英帝国の支配下となり、マラッカはシンガポール、ペナン島と共に大英帝国の海峡植民地(Straits Settlement)の一角となります。
貿易の交差点であったマラッカには15世紀以降に多くの中国人が渡り現地の女性と結婚し、プラナカン文化という独自の文化を生みました。
ここマラッカにもプラナカン文化が今も息づいており、ニョニャ料理も名物のひとつ。
1942年には、旧日本軍のマレー半島占領によりマラッカは日本の占領下に置かれます。
当時の名残はマラッカ現地のお土産屋さんで販売している軍票(大日本帝國が東南アジアで大量発行し、終戦後にただの紙切れとなる)にも見られます。
2008年に「マラッカ海峡の歴史都市群」として世界文化遺産登録。
マラッカ観光でしたいこと Best things to do in Melaka
オランダ広場 Dutch Square
マラッカ観光のハイライトでありアイコニックな存在、オランダ広場(Dutch Square)。
イギリス統治時代に真っ赤に塗装されたキリスト教会やクロックタワー、スタダイスが一堂に会する、マラッカ観光の中心地です。
記念写真を撮る観光客の声に、ズラリと並ぶ人力車トライショーの爆音が交わり、昼夜賑わいます。
マラッカ キリスト教会 Chirist Church Melaka
1753年、オランダ人の統治100周年を記念して建築されたマラッカ キリスト教会(Chirst Church Melaka)。
イギリスの統治後、鐘楼の最頂部にウェザーコック(風見鳥)が追加されました。
静寂に包まれたマラッカキリスト教会から、喧騒をきわめたオランダ広場を望む。
この音のコントラストが、随分と心地良い。
スタダイス Stadthuys
オランダ広場に面するスタダイス(Stadthuys)。
1641年にオランダが統治した後、1651年に建てられ、オランダおよび後にやってくるイギリスの行政事務所として機能していたという。
元は白色だったが1820年代に赤色に塗り替えられ、現在もその姿を残します。
スタダイスの階段を駆け上がり丘へ上がった先にあるのは、セントポールの丘および教会跡。
セントポール教会跡 St. Paul’s Church
フランシスコ ザビエル像と朽ち果てた教会跡、セントポール教会跡(St. Paul’s Church)。
元のカトリック教会は1521年、ポルトガル人の船長ドワーティ コエーリョ(Duato Coelho)により建てられ、「Nosa Senhor(Our Lady of the Hill)」と名付けられたのが始まり。
1545年にフランシスコ ザビエルがマラッカを訪問した後、1548年にイエズス会の教会となります。
ザビエルが日本人の弥次郎と出会い、日本にキリスト教を普及するきっかけとなった地でもあります。
1552年にザビエルが明国の上川島で死去した後、インドのゴアに移される前の9ヶ月間、遺体はセントポール教会で保管されていました。
オランダの統治下になった後にプロテスタントの教会となり、セントポール教会(St. Paul’s Church)に改称。
1753年に現オランダ広場のキリスト教会(Chirst Church Melaka)が建てられた後、セントポール教会は廃墟となりました。
海の博物館(Marintime Museum)やマラッカのホテルに展示されている絵画に美しかった頃のセントポール教会が描かれています。
現在の姿と比較してみるのも一興です。
セントポールの丘からは、マラッカ海峡を一望できます。
「海は遠い…。Excuse me, I’d like to see the sunset near by the sea, How can I get there?」
サンチャゴ砦 Porta de Santiago(A Famosa)
ポルトガル人が築いたマラッカ砦は1807年に大英帝国により破壊されましたが、サンチャゴ砦(Porta de Santiago、A Famosa)のみ破壊されずに、唯一現存しています。
近代になり埋め立てが行われる以前は、砦の外側に海岸線がありました。
数百年前は、大砲と見張りが、マラッカ海峡を行き交う船に対して睨みをきかせていたのでしょう。
聖フランシス ザビエル教会 St. Francis Xavier’s Church
オランダ広場の北側にあるフランシス ザビエル教会(St. Francis Xavier’s Church)。
1849年にフランシスコ ザビエルを偲んで建設された教会はネオゴシック様式で、汚れがこびり付いたクリーム色の外壁が印象に残る。
教会の敷地内に、像が2つ。
右がフランシスコ ザビエル、左が鹿児島出身の日本人弥次郎(やじろう、Angero)です。
1547年にザビエルと弥次郎はここマラッカの地で出会い、1549年に共に鹿児島に渡って日本にキリスト教を普及するきっかけを作りました。
マラッカ現地ではその記載を見つけられませんでしたが、逸話として、武士の弥次郎は日本で殺人を犯し、失意のあまりポルトガルの船に乗ってマレー半島に乗り込んだといいます。
遠藤周作の小説『沈黙』の映画版にて。
キリシタン弾圧によりキリストの石板を踏まなかった家族を焼殺され、自分だけ踏み絵により生き残りマカオで廃人となっていたキチジローが、そこで出会った牧師2人と共に長崎に渡るシーンがあります。
遠藤周作が描くキチジローは弥次郎にインスピレーションを得たのだろうか、などと空想する。
後日、鹿児島市にあるザビエル公園にも訪れました。
「鹿児島ザビエル公園 キリスト教伝来の地に建つ2人の日本人の像」
鹿児島ザビエル公園 キリスト教伝来の地に建つ2人の日本人の像
トライショー Trishow
オランダ広場周辺に反響する喧騒の一因は、人力車のトライショー(Trishow)。
装飾と音響設備を年々アップグレードしており、任天堂、サンリオ、ウォルトディズニーもびっくりのIP無法地帯です。
マラッカのトライショーは、世界の名だたる企業に対してマッチアップする覚悟を持っているのです。
いや、もしかするとないかもしれない。
トライショーは、タクシーのように座席に運転手の顔写真と本名が記載されており、意外や意外、免許があるのです。
ジョンカーストリート(Jonker Street)から宿泊先のザマジェスティックマラッカまで。
「2人、30リンギット」で交渉したものの、「40リンギットは譲れない」ということで、40リンギットで手打ち。
タクシーよりも金額は高いですが、思い出作りに。
運転手は見るからにタフそうな、女性の方。
曲の選曲もイケていて、出発前と到着後に写真も撮影してくれました。
ザ マジェスティックホテルの駐車場に爆音を鳴らしながら停車した時は、さすがに恥ずかしかったですが…。
ババニョニャヘリテージミュージアム The Baba Nyonya Heritage Museum
1861年にプラナカンのチャン氏が築いた私邸。
ババニョニャヘリテージ(The Baba Nyonya Heritage)として、博物館になっています。
入り口以外は、撮影禁止。
当時の生活風景そのままに家具やキッチンが保存されており、プラナカン文化の世界に浸ることができます。
お土産屋では、マラッカで使われていた古い硬貨、旧日本軍が発行した軍票、孫文や蒋介石が描かれている中華民国の紙幣を販売していました。
Adult:RM16.00
Child(5〜12才):RM11.00
海の博物館 Maritime Museum
マラッカの海の歴史を紐解く、海の博物館(Maritime Museum)。
「海の要衝マラッカの地が、過去500年どのように変遷してきたのか」を、時系列を追って把握できます。
絵画と補足の文面も充実しており、マラッカの歴史を紐解きたい方には必見のスポットです。
マラッカ王国時代のマラッカリバー河口。
Adult:RM10.00
Child(7〜12才):RM6.00
マラッカスルタンパレス Malacca Sultan Palace
マラッカ王国に特化した博物館、マラッカ スルタンパレス(Malacca Sultan Palace)。
かつてのスルタンパレスを再現した建物の中には、スルタン(王)の謁見のシーン、中国やジャワ、アラブの貿易商が取引していた物品を再現。
交通の要衝マラッカの歴史を探求できるでしょう。
マネキンの精度があまりにも低く、一体あなたは誰ですかと言いたくなる方々もしばしば。
本筋から外れて笑えてしまうのは、もはやご愛嬌。
Adult:RM16.00
Child(5〜12才):RM11.00
マラッカリバークルーズ Meleka River Cruises
マラッカ海峡へ注ぐマラッカリバー。
約3kmの道のりを船で進む、マラッカリバークルーズ(Melaka River Cruises)。
川沿いに立ち並ぶ住居や店舗の壁面アートが見れるものの、これといった見どころは多くありません。
チケットは往復のみで、曜日により異なります。
片道20分で往復すると約40分。
片道(One Way)を希望する場合、乗船時にスタッフへ伝えると片道で降ろしてくれます。
Adult:月〜木/RM15.90、金〜日/RM21.20
Child(2〜12才):月〜木/RM7.50、金〜日/RM7.50
マラッカタワー Menara Taming Sari
セントポール教会跡の丘からも見える展望台、マラッカタワー(Melaka Tower、Menara Taming Sari、ムナラタミンサリ)。
円形の展望デッキが回転し、マラッカの360℃ビューを楽しめるというもの。
マラッカリバーの上流、オランダ広場方面を見おろして。
映画館やショッピングモール方面…。
なぜ、歴史を紡ぐマラッカの町に作ってしまったのか。
つくづく、もったいないと思います。
今まさに乗っているマラッカタワーも例に漏れず、かもしれませんが。
Adult:RM23.00
Child(2〜12才):RM15.00
Senior(55才〜):RM18.00
マラッカの夕日 The Sunset
沢木耕太郎氏の小説『深夜特急』にて、主人公の沢木が海岸線で見た真っ赤なマラッカの夕日。
沖合の埋め立てと大規模開発により、かつての姿が徐々に失われつつある。
詳細は下記の記事にまとめてます。
マラッカ海峡モスク Masjid Terapung Selat Melaka
Pulau Melaka(マラッカ島)にある水上モスク、マラッカ海峡モスク(Masjid Terapung Selat Melaka)。
サンセットのスポットとして有名で、夕刻になると続々と観光客が集います。
マラッカ観光の中心となるオランダ広場やジョンカー通りから徒歩で向かう場合、片道40〜50分はかかります。
日が沈むとあたりは一気に暗くなるため、タクシーまたはGrabでの訪問を推奨。
タクシーの場合は、帰りのピックアップの場所・時刻・料金もあわせて交渉しておくことを推奨します。
マラッカ海峡モスクの西に沈む夕日。
マラッカに宿泊・滞在する Where to stay
世界遺産マラッカの町で宿泊したホテル「ザマジェスティックマラッカ」「ノボテルマラッカ」の宿泊記は個別記事にてご紹介してます。
ザ マジェスティック マラッカ宿泊記|The Majestic Malacca
マラッカの場所・行き方・アクセス Getting There
クアラルンプール・シンガポールからマラッカまで
世界遺産マラッカの町は、首都クアラルンプールの中心地から約120km南東、クアラルンプール国際空港から約85km南東、シンガポールから約200km北西の場所に位置しています。
クアラルンプール(TBS) – マラッカセントラル | RM15 | 約2時間 |
シンガポール – マラッカセントラル | S$15〜30 | 約4時間 |
クアラルンプールのTBSバスターミナルからマラッカセントラルバスターミナルまで、料金約15リンギット、所要時間約2時間(KKKL Express、Mayang Sari Express、Delima Express社ほか)。
クアラルンプール国際空港(KLIAおよびKLIA2)からマラッカセントラルバスターミナルまで、料金約25リンギットの直通バス(TRANSNATIONAL社)があります。
シンガポールからも直通バスが出ており、料金はS$15〜30程度、所要時間は約4時間(KKKL Express、707 Express社ほか)です。
マラッカの行き方は下記記事をご覧ください。
マレーシア・マラッカの行き方 How to Get to Malacca
マラッカセントラルからマラッカ中心部まで
マラッカセントラルからマラッカ中心部までは、タクシースタンドのタクシーを利用しました。
宿泊ホテルのノボテルマラッカまで固定料金21リンギット。
試しに値切ろうとしてみましたが、日本語で「こちらが標準価格です」との返しでしたので、タクシースタンドから各ホテルまで固定料金と思われます。
マラッカセントラルからバスに乗る場合、17番線に乗り運賃1.5リンギット。
タクシー
マラッカで利用したタクシー料金のメモです。
区間 | 種類 | 料金 |
マラッカセントラル – ノボテルマラッカ | 固定料金 | 21.00リンギット |
ノボテルマラッカ – ザマジェスティックマラッカ | メーター | 12.20リンギット |
ザマジェスティックマラッカ – マラッカ海峡モスク | メーター | 21.80リンギット |
ザマジェスティックマラッカ – マラッカセントラル | メーター | 15.80リンギット |
マラッカのタクシードライバーは良い人ばかりで、わたしの警戒は杞憂に終わりました。
マラッカの観光地図 Map
マラッカのTravel Mapは下記URL先に公開しています。
マラッカ観光のマップ(Google Maps)
おわりに
海上交易の要衝であったマラッカの町。
ポルトガル、オランダ、そしてイギリスと、西欧諸国が築いた歴史的建造物と東南アジアの町並みが入り混じった景観は、独特。
マラッカ観光の所要時間は、世界遺産周辺のハイライトだけであれば半日。
博物館もじっくり見るなら1日~2日あれば良いでしょう。
ペナン島ジョージタウン観光の見どころ(マレーシア) Penang Travel Guide
プトラジャヤ観光 バラ色花崗岩のピンクモスクほか、行き方まで(マレーシア)
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