郵便切手。切手には送料という本来の用途としてはもちろん、その印刷・デザインに当時の世相や歴史が反映されており、歴史を学ぶのにも役立つツールです。
今回はシンガポール切手博物館(Singapore Philatelic Museum)を訪れてみましたのでハイライトや料金・行き方などをご紹介します。
シンガポール切手博物館(Singapore Philatelic Museum)
シンガポール切手博物館(Singapore Philatelic Museum)はシンガポールの歴史を反映する貴重な切手コレクションを展示しているミュージアムです。世界最古の切手ペニーブラックや、イギリス統治時代の切手、南方占領地切手、シンガポールの独立・文化・繁栄を描いた切手を通じてシンガポールの歴史を学べます。
シンガポール切手博物館の場所・建物は歴史が古く、元々は1886年に英領マレーで初めて建設されたメソジスト教会と教会の運営する学校でした。午前中に英語・午後に中国語の授業をしていたことから、Anglo-Chinese School(アングロ中国学校)と呼ばれていたもの。
現地看板にアングロ中国学校時代の写真があったので比較画像を作ってみました。当時の面影が今も残る、素敵な建物ですね。
シンガポール切手博物館のチケット料金・入場料
Adlut | S$8 |
Child(3〜12才) | S$6 |
シンガポール切手博物館の入場料は大人S$8、子供S$6。チケットは切手の形をシールになっていて、服に貼り付けて入場します。見学後はなんだか捨ててしまうのも違う気がしたので直感でシンガポールに持ってきた小型スーツケースに貼りました。
切手ミュージアムのコレクション
ここからはシンガポール切手博物館に展示されている興味深い切手のコレクションをご紹介していくことにしましょう。
博物館ではテーマごとに切手が展示されていますが、ここでは「時系列順」にご案内します。
まずは世界初の郵便切手、ペニーブラック(The Penny Black)。描かれているのはヴィクトリア女王の横顔で、計68,158,080部がバースで発行されたといいます。シンガポール切手博物館のショップでペニーブラックの使用済み切手が販売されています。お値段は後ほど!
歴代の女王・国王の描かれたイギリス統治下における切手。左上:ヴィクトリア女王、右上:エドワード7世、左下:ジョージ5世、右下:ジョージ6世。Straits Settlements=海峡植民地の意。
イギリス本土〜シンガポール間の手紙の料金と日数。船やラクダの絵が描かれていて視覚的に把握できて面白いです。
1832年は帆船で117日。スエズ運河が開通する1869年以前は「ロンドン – 喜望峰 – ボンベイ(現ムンバイ) – コロンボ – カルカッタ – シンガポール」というルートによりアフリカ最南端の喜望峰を迂回していたので、手紙を発送してから届くまでに約3ヶ月の日数を要している。1846年は海路・陸路を駆使した馬車・帆船・ラクダ・ロバ・蒸気船で45日半、1876年には列車と蒸気船で31日、1880年には列車と蒸気船で28日まで短縮している。
1937年、英領マレー初の航空便。範囲はシンガポール島からマレーシアのペナン島まで届けられた。
英国軍と日本軍における「シンガポールの戦い」直後の海峡植民地英領マレー切手。イギリス王ジョージ6世の英領マレー切手に大日本郵便の刻印がなされている。
英領マレーを占領した大日本帝國により発行された南方占領地切手。ショップにはマラヤ、ビルマ、スマトラ、フィリピンの南方占領地切手がセットで販売されてました。
1953年、エリザベス2世の戴冠式を記念した英領マレー10セント切手。
シンガポールは1959年にイギリスの自治領(State of Singapore)となり、翌1960年に発行された切手には前年12月に発表されたばかりのシンガポール国旗が印刷されています。
1963年、1957年に独立したマラヤ連邦とボルネオ島のサバ サラワク両州とともにマレーシア連邦として合併し、記念に発行された切手。
シンガポールは1965年に独立。シンガポール独立1周年記念切手、1st Anniversary Republic Singapore。
1987年に開業したシンガポール地下鉄MRTの記念切手。当初はEastwest Line、Northsouth Lineの2路線だったことが分かります。後にオープンとなるCircle Line、Northeast Line、Downtown Lineの記念切手も展示されていました。
これまた興味深い切手を発見。シンガポールリバーの河口とマリーナベイを描いた切手ですが、今の景色と何かが違う。
左手の大きな建物はフラトン。中央にある大きな橋は、エスプラネードブリッジ?ではなく…、アンダーソンブリッジ(Anderson Bridge)!1997年完成のエスプラネードブリッジが描かれていません。アンダーソンブリッジの下側に描かれているのはマーライオン。つまり2002年に現在の場所に移設される前のマーライオンの場所を示しています。
エスプラネードブリッジはもちろん、ワンフラトンもなければエスプラネードシアターもない。Google Mapsで比較してみると面白いです。1972年に設置された時のマーライオン像の場所が把握できます。
マリーナベイの水量を調節するダム、マリーナバラージの記念切手(2012)。
シンガポールを代表するお食事処ホーカーの記念切手(2011)。イーストコースト、ラオパサ、マックウェル、ニュートン。
シンガポールの国花、蘭の記念切手(2011)。本物を鑑賞するやらシンガポール植物園のオーキッドガーデンがおすすめです。
お土産ショップ
チケット売り場の隣には世界各国の使用済み・新品の切手を販売しています。お土産に珍しい切手を探すのも楽しいひととき。
2007年National Dayの切手などいくつかお土産に購入しました。
シンガポールで発行された切手の絵柄を金で仕上げた純金切手。お値段S$4,000。
世界最古の切手、使用済みのペニーブラック。価格はS$800でした。
他にもシンガポール切手博物館のオリジナルグッズもあります。
シンガポール切手博物館の場所・行き方・アクセス
シンガポール切手博物館の地下鉄最寄り駅はCity Hall駅(Eastwest Line、Northsouth Line)から徒歩7分、Clarke Quay駅(Nourtheast Line)から徒歩8分。
周囲にはプラナカン博物館やフォートカニングパークがあるのであわせて観光もおすすめです。
シンガポール切手博物館の営業時間
住所 | 23-B Coleman Street, Singapore 179807 |
電話番号 | +65 6337 3888 |
営業時間 | 10:00~19:00(最終18:30) |
おわりに
一点一点じっくり見学して所要時間は約1時間30分でした。
今後ぜひ他の国の切手博物館も訪れてみたいですし、世界の切手収集を趣味にするのも楽しそうです。
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