古くから貿易の交差点だった東南アジア。
マレー半島・シンガポールに今も息づくプラナカン文化。
プラナカンの歴史を展示したミュージアム、プラナカン博物館(Peranakan Museum)でルーツを紐解きましょう。
リニューアルに伴い閉館しており、2021年に再開予定です
プラナカン博物館 Peranakan Museum
プラナカンの歴史・文化を紹介する博物館、プラナカン博物館(Peranakan Museum)。
シティホール、フォートカニングパークの近くにあります。
建物は、中国語の近代教育を教えていたタオナンスクール(Tao Nan Scool、1906〜1982)を改装したもの。
プラナカンとは
古くから貿易の交差点となっていた東南アジア。
商人たちのほとんどが短期滞在だったものの、その一部が現地の女性と結婚し東南アジアに残りました。
彼らの子孫をプラナカン(Peranakans)と呼びます。
プラナカンという単語はマレー語で「子孫(child of)」「〜から生まれて(born of)」を差す単語です。
一口にプラナカンと言っても、そのルーツによって厳密には細かく分かれています。
例えば「Peranakan Chinese」は、大英帝国の海峡植民地時代にマラッカ、シンガポール、ペナン島に移住した中国人および現地女性との間に生まれた子孫のこと。
さらに「Hokkien Peranakan」「Chinese Eurasian Peranakan」のように、中華系プラナカンでも、祖先の住んでいたエリアやルーツにより細かく分かれています。
南インドの商人と現地女性の間に生まれた子孫は「Jawi Peranakans」と呼ばれ、南インドからの貿易船が頻繁を訪れていたペナン島に居着きました。
子供たちを「ジョージタウン」にある英語学校に通わせてビジネスでも成功し、エリート集団とされていたようです。
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「Chitty Melaka」は南インドのヒンドゥー教徒とプラナカンの中国人コミュニティ「ババ(Baba)」との間に生まれた子孫で、15世紀以降に「マラッカ」に住み着きます。
20世紀には、マレー半島の他の地域やシンガポールに移住し、マレー半島全体に広がっていきました。
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1階の展示室にはプラナカンの子孫の顔写真とルーツが掲載されています。
ひとつひとつ見ていくと、プラナカン・プラナカン文化を簡単に説明するのが難しいほどに、とかく多様であることが分かります。
19世紀後半〜20世紀初頭に使われていた、プラナカンのティーセット。
左上からコットン生地にガラスビーズで装飾したイギリス海峡植民地時代のスリッパー(1930年代)、コットン生地のケバヤ(シンガポール・20世紀中頃)、シルク生地の布(ペナン島・20世紀初頭)、金製のベルト&バックル(スマトラ・20世紀初頭)。
プラナカンの結婚式 Peranakan Wedding
シンガポール、マラッカ、ペナン島の「Peranakan Chinese」の結婚式は、中国の慣行に従って行われました。
最大12日間にわたって行われる、プラナカンの結婚式のアイテムが展示されています。
100万個以上のガラスビーズを使ったテーブルクロス[2006-01927]は、プラナカンのビーズ刺繍でも最大の作品という。ヨーロッパや南米の鳥や花、トンボなどが描かれている。結婚式の間、贈り物や食事を載せるテーブルにかけられていた。
結婚式で使われるプラナカンジュエリーの装飾品。
左上から頭飾り(銀メッキ・羽・コットン)、ブローチ、ヘアピン。
プラナカンの結婚式において、花嫁と新郎の家族との間で交換される贈り物の展示。
左上はジュエリー(ブローチ、イヤリング、ブレスレット、ベルト・バックル、指輪)で、新郎家族から新婦の家族に贈られた品。
花嫁の家族からは、ジュエリーのお返しとしてシルクのハンカチ、ベルト・バックルが贈られました。
右上は豚の脚肉で、新郎側から新婦に贈られたもの。
左下は花嫁に贈られたろうそくのセット、ブランデー、オレンジ。右下は新郎から新婦に贈られた布、そしてお返しのスリッパ。
このスリッパは花嫁自身が縫い上げるため、裁縫についてのスキルをお披露目する機会となります。
プラナカンは裕福な家庭が多く、結婚式で交換する贈り物でもそれが分かります。
言語とファッション Language and Fashion
プラナカンの間で1920年代から流行したという、綿製のキャミソール。
キャミソールの上にケバヤを着ていたそうです。
細部の装飾が美しい、ケバヤの数々。
食事と饗宴 Food and Feasting
プラナカンの食文化や饗宴、食器についての展示、Food and Feasting。
プラナカン料理のメニューといえば、ラクサやミーシアムなどが思い浮かびますね。
プラナカン陶器の展示。20世紀初頭のカムチェンの展示は必見。
特別展 プラナカン刺繍 Nyonya Needlework
特別展にはニョニャが作るプラナカン刺繍に特化した展示「Nyonya Needlework」。プラナカン博物館だけでなくシンガポール国立博物館にある展示品を特別展示していました。
シルクのビロード生地に煌びやかなスパンコールが縫い付けられたWomen’s ankle boots[2012-00208]。19世紀後半、ジャワ島のもの。
ガラスビーズの刺繍が可愛い雑貨。左からTwo-part case[1995-92470]、Watch pocket[G-0815]、Waist pouch[G-0296-A]。
プラナカン博物館のお土産
プラナカン博物館の両サイドにはお土産屋さんとブティックが併設されており、博物館の入場者でなくとも買い物ができます。ショップにはプラナカン食器や雑貨が置いてありますが、お値段はカトン地区にあるプラナカン雑貨のショップよりも1.5倍〜2倍ほどと高め。
お時間があれば「カトン地区」まで足を伸ばしてみてください。
19世紀、華人プラナカンが住む住居に貼られていたタイルを模するマグネット(S$7)があったので購入。
プラナカン博物館のチケットは、衣服に貼るシールタイプ。
見学後に訪問の記念としてスーツケースに貼ってみました。
プラナカン博物館のチケット料金・入場料
Adult | S$10.00 |
Children(〜6才) | Free |
Seniors(60才〜) | S$6.00 |
金曜日19:00〜21:00の入場の場合、大人・シニアともに入場料S$3.00になる割引があります。
プラナカン博物館の場所・行き方・アクセス
プラナカン博物館のMRT最寄り駅は「EastWest Line」「NorthSouth Line」のCity Hall(シティホール駅)です。
「Circle Line」のBras Basah(ブラスバサー駅)からも歩いて行けます。
プラナカン博物館の近くにはシンガポール切手博物館やフォートカニングパークもあるので、あわせてどうぞ。
プラナカン博物館の営業時間
住所 | 39 Armenian St, Singapore 179941 |
電話番号 | +65 6332 7591 |
営業時間 | 10:00〜19:00 |
おわりに
閉鎖的な島国日本に暮らしているとイメージが湧きませんが、貿易によりさまざまなルーツを持つ人々が集まり独自の文化となったプラナカン文化は非常に興味深いです。
今後マラッカやペナン島を訪れた際に、さらにそのルーツを探ってみたい。
プラナカン博物館では、火曜日〜金曜日の午前10:30に日本語ガイドの案内もあります。
詳細は公式サイトをご確認ください。