約4万年前に起きた支笏火山噴火による火砕流は、現在の札幌市周辺にも堆積。
急速に固まった溶結凝灰岩の露頭、札幌軟石を採石した石切場の面影を残す、札幌市南区の石山緑地(Ishiyama Ryokuchi)へ。
石山緑地 Ishiyama Ryokuchi
ミステリーサークル、古代ローマの浴場跡、あるいは旧約聖書のバベルの塔。
異世界に迷い込んだかのような、摩訶不思議な空間。
札幌市南区にある公園、石山緑地(Ishiyama Ryokuchi)です。
北海道遺産「札幌軟石」の石切場の面影を残す空間として、札幌市内在住の彫刻家が集まる「CINQ(サンク)」が手がけました。
自然が生み出した溶結凝灰岩の露頭と、札幌の造形集団による彫刻アートが溶けこむ。
近郊にある札幌芸術の森との連続性も感じる、いわば野外美術館ともいえる空間です。
札幌軟石 Sapporo Nanseki Soft Stone
約4万年前に発生した支笏火山の巨大噴火(カルデラ湖 支笏湖の誕生)。
火砕流は現在の札幌市にも堆積、溶結凝灰岩となります。
支笏溶結凝灰岩から切り出した「札幌軟石」は、断熱性・防火性が高いことから建物の外壁として使われました。
例えば、札幌市資料館(旧札幌控訴院)、小樽運河の倉庫群、創成川公園から見える日本キリスト教団札幌教会。
石山は文字通り札幌軟石の石切場として栄えたものの、戦後に入って安価なコンクリートが普及するとともに、衰退します。
溶結凝灰岩の露頭
まず目を見張るのは溶結凝灰岩の露頭です。
高さ15mにも及ぶ、迫り来るような岩肌を間近に。
溶結凝灰岩は上下二層に分かれています。
上部は火山灰が降り積もった層、下部は火砕流が固まった層で札幌軟石として切り出して使われました。
造形集団CINQの軟石彫刻のアート群
呼吸する門
南ブロックのゲート、『呼吸する門』。
手つなぎ石
札幌軟石に金属が組み合わさった『手つなぎ石』。
スパイラルスプリング
バベルの塔のような石塔からこぼれ落ちる水は、スパイラル状の水路『スパイラルスプリング』へ。
赤い空の箱
札幌軟石の岩肌を背景に、赤い金属ブロックが佇む空間。
『赤い空の箱』。
ネガティブマウンド
ネガティブとポジティブを表現した高低差のある空間、『ネガティブマウンド』。
古代ローマの浴場跡、神殿跡のような不思議な空間です。
軟石の表面の仕上げ・模様が多彩で、その日の天候により表情が大きく変わりそうです。
午後の丘
軟石の壁から転がり落ちたかのようなキューブが並ぶ『午後の丘』。
石山緑地のパンフレットに記載されている「職人さんのなまえを探せ!」。
当時の職人さんは自分が掘った場所に名前のサインを入れたそうです。
「長村」と「甸」。
周辺にある札幌軟石にまつわるスポット
旧石山郵便局(昭和15年築、1940年)。
現在は「ぽすとかん」として生まれ変わり、「軟石や」「ニシクルカフェ」が入ります。
旧石山信用組合(大正12年築、1923年)。
現在は札幌市消防局の倉庫として使われています。
旧定山渓鉄道の旧石切山駅。
石山神社。
鳥居と狛犬に札幌軟石が使われています。
石山緑地の場所・行き方・アクセス
マップコード:9 161 817*43
札幌中心部から約12.0km、車で約25分
札幌市営地下鉄南北線「真駒内駅」より路線バスで約7分、徒歩約2分